学生相談以外の私の専門の一つにグループ療法がありますが、グループセラピーを行うときはグループに対する初期不安(「周りは知らない人ばかりで、何か嫌なことをいわれるのではないか・・・」など)の扱いが重要になってきます。最初にグループが安全な場所にならなければ、よい体験を得ることは難しいでしょう。大学の新入生も入学によって大きな環境の変化が生じます。学部・学科ガイダンスに出ればわかるような些細な心配を新入生がSNS上につぶやいているのをよく見かけますね。こうした初期不安に応じて安心して相談にのれる学生相談室の存在をアピールするためには、学生相談の広報はなるべく早期から行うことが望ましいです。特に新型コロナウイルス対応で通常の学生生活が送れなくなっている現在ではなおさらです。静岡大学浜松キャンパスでは例年、新入生は入学式の直後(学部ガイダンスよりも前)に学生相談室と修学サポート室(障害学生支援室)の40分間のガイダンスを行っていました。健康診断と組み合わせているため、名前こそ「精神保健ガイダンス」となっていますが、実質的には学生相談と障害学生支援の案内です。内容的には学生相談室と障害学生支援室の宣伝を、2日に分けて合計8回、約800人を対象に行なっています。カウンセラーと障害学生支援コーディネーターが講義をしますが、内容はパワーポイント+人工音声(CeVIO Creative Studio 7:オンライン講義用は2021年度末まで無料ライセンス取得可能)で作った動画を視聴してもらいます。入室と同時に相談申し込み用アドレスをスマホに登録してもらって学生相談の練習と称して「大学生活で心配なこと、不安なこと」をメールでカウンセラーに送ってもらい、その日のうちに返信するという形式を取っていました。残念ながら新型コロナウィルス流行によって昨年の精神保健ガイダンスは中止になってしまいました。代替手段として新入生には相談練習のメールを送るようにと一斉メールを送りました。カウンセラーが対面して指示するのではないため、学生の返信率は例年より下がってしまいました。そこでさらなる学生との双方向的なコンタクトの手段として、Microsoft Teamsによるチャットによる宣伝を導入しました。本学は Microsoft と包括契約を行っているので、Microsoft Office は無料でインストールすることができ、コミュニケーションソフトウェアである Teams も講義等でよく使われています。加えて Office のアカウント名は姓+名+年度@shizuoka.ac.jp という形式なので、個人名とアカウント名が一致します。他のSNSやコミュニケーションツールのように、アカウント名が匿名化されて誰かがわからないということが起こりません。学務情報システムで得た新入生全員の名前をTeamsのリストに追加していき、一人一人にチャットによる相談室案内をコピペしつつ送りました。チャットのよいところは双方向性があるところで、返信してくれる学生やそこから窮状を訴えて相談につながった事例もありました。また一度登録してしまえば記録が残るため、在学する間は連絡に使うことができ、いったん終了したケースのフォローアップにも使いやすいというようなメリットがあります。
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