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お知らせ 理事長 研修会

「理事長と語る会」を開催します

「高めよう!学生相談力×学生支援力」フラッグツアー「理事長と語る会」を、1DAYセミナー 2017(福岡)開催後に開催します。

日時:2017年9月23日(土・祝)17:30~19:30

学生相談を取り巻く厳しい現実と今後について、それに伴う学会の課題について、広く学生支援に携わるかたがたに理事長の声をお届けし、意見交換を行いたいと考えています。学生支援のあり方や学会の活動などについて、関心のある方、齋藤理事長とじっくり語り合えるこの機会に振るってご参加ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

理事長

学生相談:「こころ」を守る「ちから」を持とう

〜各キャンパスで展開する「代書屋物語」〜

日本学生相談学会理事長 齋藤 憲司

 2017年も半ば近く、各地で雨の季節を迎えようとしています。植物を育て、夏の大地を潤し、人々が干上がらないために、ほどよく降水してくれることを願いながら、カバンに傘を潜ませて日常を過ごしています。

さて、緑まぶしい五月晴れの中部大学キャンパスで、大いに学び、励まされた第35回大会、私たちは何を持ち帰って今年後半を生き抜いていくでしょうか。アメニティの行き届いた学生相談室、尾張の丘から眺めた夕陽、交流を彩るJAZZの調べ、サプライズのフォークダンス、そして何より開催にご尽力下さった皆さまの温かいおもてなしに、誰もが明日への活力を得ることができたのではと思います。そして懇親会での学長先生のちから強いお言葉に、学生相談•学生支援の充実は全学が一体となっての信頼関係の元で進んでいくことを感じます。

今期の本学会は「高めよう!学生相談力×学生支援力」という標語のもと、ひとりひとりが揺るぎない実力を身につけていく方略を具現化していくことを目指しています。きびしい時代だからこそ、“花が咲かないときは、根をのばせ”(Jリーグで新たな挑戦を続ける中村俊輔選手の発言から,2017)、目先のことにとらわれずに、どのような状況においてもカウンセラーとして・学生支援スタッフとして機能しうる底力を身につけていきたいと思います。それは、自分なりの学生相談の「型」を創出していくことであり、揺るがない「メンタリィティ」を確立することでもあるだろうと思います。

いまさらですが、学生相談・学生支援の核心とは何でしょうか。それは目前の学生のために最善の関わりを提供すること、いわば学生の「こころ」を守り育てることにあることは不変かつ普遍だろうと思います。これこそが全ての活動の中心であり、これがあってこその学生相談の存在意義とさえ言っても良いでしょう。そのために私たちは日々「面接•対応力」を磨きあげることに全力を尽くします。的確な「アセスメント力」、ネットワークで支える「連携•協働力」、施策•組織に貢献する「コミュニティ力」といった諸機能は、結局は「面接•対応力」に還元•集約されるために必要となるのだと思います。そして相談業務と運営業務に追われて後回しになりがちな「研究力」についても、「来談学生が自分の経験をすくい上げる作業を行っているのだから、カウンセラーも同じ作業をすべき」(鶴田,2017)という言葉に象徴されるように、毎回の面接の中でどのような言葉を返すことが最善なのかを熟考する営みは、そのまま研究そのものにつながっていると言えるでしょう。

「こころを守る」、そのために必要な資質と備え、そしてエネルギーの大きさを、最近話題となったドラマ『ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜』(NHK,2017)から考えていました。多部未華子さん演じるポッポちゃんこと鳩子さんは、先代と呼ぶ亡き祖母の後を継いで、自分ではどうしても文章にできない依頼者のために手紙を代わりに書く営みを生業にしています。 “手紙は自分で書かなきゃダメでしょう‥”と私も最初は思ったものでした。しかし、ドラマの展開に連れて、あたかも依頼者が自分で書いたかのごとくの、いやおそらくは自分で書けたとして、その場合の最良の内容と表現がポッポちゃんの中から紡ぎ出されていきます。依頼者は“こんな風に書きたかったんだ‥”あの時の自分がここにいる‥” とこころを震わせ、改めて自分の経験といまここでの思いに直面することになります。

学生相談•学生支援に従事する私たちも、似たような台詞を耳にすることがあったように思います。“自分で問題を解決できないなんて、情けない‥”“もう大人なんだから、ひとに頼っていないで!”等々の影の声に、学生たちは来談をためらいます。でも「相談・質問は自律的な行為」(オリエンテーションでいつも使うフレーズです)、ひとりで抱え込まずに適切に他者を頼れることこそが、大人であることの証であり、その勇気が次のステージを準備することになります。意を決しての来談から展開される個別面接は、当初は足場固めのような状況確認の対話から始まることが多いでしょうが、次第にお互いの「認知」と「感情」をフル稼動させたものとなり、やがてカウンセラーの応答に対して「そう、まさにそんな風に感じていたんです」といった思いを抱くことになり、いつしか “この言葉はどちらから発せられたのかすら判然としない” 境地に達していきます。時にそれは、ポッポちゃんの綴る「代書」に重なってくるような気がします。また、ご家族や教職員に来談学生の思いを伝える時には(もちろん本人の依頼もしくは了解を得て)、まさに「代書屋」となって学生の代わりに語れるよう、吟味と推敲を繰り返すことになります。言うまでもなくその作業は、状況全体への中立性と専門家としての判断を加味した上でなされるものですが、極めて多大な心的エネルギーを使う作業になります。

最終回で、ポッポちゃんが、自分の育ちと先代との関係に圧倒されてすっかり「代書」の仕事が手につかない状態に陥ります。私たちも自身に余裕がなかったり、あるいは職場状況が揺らいでいたりすると、「面接」や「個別対応」に全精力を傾けられない時があるかもしれません。もちろん、プロフェッショナルとして、たとえどのような過酷な状況になっても、面接場面を守り通すことは責務なのですが、可能な限り、体制と組織、そしてコミュニティの支えを得ての「こころの仕事」であって欲しいと願います。逆に言えば、その必要性を発信していくことも、私たちの共通の課題ということにもなるでしょう。

援助職の特性を示す用語として「感情労働」という言葉が使われることがあります(中釜•高田•齋藤,2008)。日々、感情を繊細に、時に多量に使わざるをえない仕事ですから、それを保証するための自己の「ちから」と環境の「支え」を併せ持つことが求められるでしょう。ある時期、私は「小説」の類や「ドラマ」「映画」がほとんど見られなくなっていた頃がありました。それは来談学生の描く物語が十分にドラマティックでフィクションを超えているからという側面もあったかもしれませんが、同時に毎日の面接にそれだけ自分の「こころ」を使うために、感情を扱う作品群にまわす心的エネルギーが残っていなかったという事態でもあったのだと思います。学生の「こころ」を受けとめるために、私たちは柔らかい「こころ」を保持していることが必須であり、同時に学生の「こころ」を守るために、私たちは強くてしなやかな「こころ」もまた持ち合わせていなくてはならないのだろうと思います。「研修」や「研究」は、間違いなくそのような総合力のある「こころ」の有り様を支えてくれるでしょう。

学生とともに「いま」を生き、「明日」を見渡す、その大きな流れと連働しつつ、来年度の第36回大会に向けた準備委員会がすでに発動しています。次期大会をお引き受け下さった関東学院大学の皆さまに深く敬意と感謝を表しつつ、1年間の活動の中で、私たちも1つ1つの相談対応に込められた「こころ」の機微と躍動を書き綴っていきましょう。そして横浜・金沢八景の地でお互いをねぎらい合えればと思います。

その「こころの旅路」を支えるマイルストーンとして、今年は12月と少し遅めに開催される第55回全国学生相談研修会、そして各種セミナーをぜひご活用いただければと思います。理事長によるフラッグツアーも今年後半から本格化させて、全国各地で皆さんと交流・意見交換を進めていきたいと思っています。

ともに「学生相談×学生支援」の旗を高く掲げ、振りかざしていきましょう。

時に「こころ」の中で、静かに。時に「対話」の中で、和やかに。時に「集団」の中で、明確に。

              (平成29(2017)年6月11日:第35回大会からの3週間を噛みしめながら)

文献・資料

荒井修子(脚本)/黛りんたろう•榎戸崇泰•西村武五郎(演出) 2017 「ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜」.日本放送協会(NHKドラマ10:全8話).

中釜洋子•高田 治•齋藤憲司 2008 「心理援助のネットワークづくりー〈関係系〉の心理臨床ー」.東京大学出版会.

中村俊輔(インタビュー)•二宮寿朗 2017 「中村俊輔のサッカー覚書。〜連載15:新天地での学び。〜」.「Sports Graphic Number」928, 70-73,所収,文藝春秋.

小川 糸 2016 「ツバキ文具店」.幻冬舎.

鶴田和美 2017 「私の学生相談」.学生相談研究,37(3), 219-229.

 

理事長

「学生相談のメンタリィティ」を求めて

   ~ 今こそ「学生相談×学生支援」の旗を振ろう! ~

日本学生相談学会理事長  齋藤 憲司

2017年が幕を開けました。全国各地で学生相談に従事する皆さま、どのような新年をお迎えでしょうか。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

洋の東西を問わず、去る年を惜しみつつ、来る年に願いを込める、そんな各地の風景に時々不思議な気持ちになることがあります。地球の自転は絶え間なく、365日とわずかなプラスαの時間を持って太陽の周りを巡り続ける、その始点を便宜的に定めることで、私たちはたくさんの物語を紡いできました。 read more »

理事長

学生相談のJapan Way(理事長メッセージ)

「学生相談のJapan Way」
〜高めよう!学生相談力×学生支援力:第10期の出立に寄せて〜

日本学生相談学会理事長 齋藤 憲司

2016年初夏、青春をイメージさせる吉祥寺と若者文化の発信地である秋葉原で開催された第34回大会を経て、本学会の新しい体制がスタートいたしました。再度の理事長に選定されてしまった戸惑いを越えて、第10期役員選挙によって選出された常任理事および理事の皆さんとともに、学生と大学等を支える学生相談の充実に向けて微力を尽くしていく所存ですので、どうぞよろしくご支援のほどお願いいたします。

さて、前期(第9期)では「喫緊の諸課題に関する実践的ガイドライン」の作成に取り組んできた訳ですが、今期はより read more »

理事長

青春のきらめき、ふぞろいだからこそ(理事長メッセージ)

青春のきらめき、ふぞろいだからこそ
〜2016年、学生相談が支える「君たちの旅」〜
日本学生相談学会理事長 齋藤憲司

学生相談ならびに高等教育に関わるみなさま、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。
各キャンパスで学ぶ学生たちが充実した日々を送れますよう、そして教職員にとっても良き1年にしていけますよう、ごいっしょに進んでまいりましょう。本年もどうぞよろしくおねがいいたします。

さて、今回は「新春」ということばに惹かれて、少々気恥ずかしいタイトルを掲げてしまいました。吉田拓郎氏のデビューアルバムが『青春の詩』と銘打った作品であったことは昨春に記したとおりですが、思い起こせば、私たちの世代は(50代とその前後ですね)、「青春」的フレーズ read more »

理事長

学生相談の「型」をつくるために(理事長メッセージ)

学生相談の「型」をつくるために
〜「個」と「組織」の「連働」から〜
日本学生相談学会理事長:齋藤 憲司

広島の晴れ渡った空を見上げながら、学生たちのために日々ご尽力なさっている皆さまと過ごした第33回大会も盛況裏に終わり、3日間の成果を各地で活かしておられる頃かと存じます。開催にあたって最大限のご配慮を頂いた広島修道大学ならびに広島地区の関係者の皆さまに深く感謝の意を表しつつ、今期の役員一同、任期の最終年度を良いかたちで締めくくるために、学生相談をめぐる動向を見渡しながら諸活動を展開してまいります。キャンパスの碑に刻まれた「今日までそして明日から」(吉田拓郎氏)の想い、しっかりと確認いたしました。
(なお、今大会の主テーマを反映したシンポジウム「高等教育における学生相談•支援の位置づけーこれまで、ここからー」は、現在の大学等 read more »

理事長

学生相談、2015年の新しい海へ(理事長メッセージ)

学生相談、2015年の新しい海へ
〜日々刻む、今日までそして明日から〜
日本学生相談学会理事長 齋藤憲司

学生相談ならびに高等教育に関わるみなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
時の流れは一定のはずなのですが、この時期はなにか特別な緩急があるような気がします。1年という区切りを設けることで過去と未来を見渡すものさしを作り直し、気持ちをリセットできる効用もあるのかなと思います。本年もまた、全国の各校•各キャンパスで学び育っていこうとする若者たちの姿に励まされながら、私たち教職員も常にフレッシュな存在でありたいものだと願っています。
さて、多くの大学等で教育や経営に係る改革が進行し、どなたもがルーティン•ワークに留まっていられない状況が続いているのではない read more »

理事長

ワールドカップ2014に見る学生相談(理事長メッセージ)

ワールドカップ2014に見る学生相談  〜「柔軟な信念」と「公約数の最大化」を指針として〜

日本学生相談学会理事長 齋藤憲司

そろそろ前期も締めくくりに入る時期、学生相談にかかわるみなさま、お元気でお過ごしでしょうか。5月に神奈川大学で開催していただいた第32回大会•総会も充実した内容で幕を閉じ、第9期執行部も順調に2年目の業務に取りかかっています。準備委員会の先生方にこころより感謝申し上げますとともに、ご協力•ご参加くださったみなさまとともに大会の成功を喜びたいと思います。
本来でしたら、大会終了後すぐに、理事長あいさつを本Webに掲載するつもりだったのですが、ご存じのように今年の6月〜7月はワールドカップ一色に、その感動と興奮と失意にまぎれて、予定が予定どおりにこなせなくなっておりました。思い起こせば、2年目最初の常任理事 read more »

理事長

学生相談の2014年 (理事長メッセージ)

学生相談の2014年
〜「ちゃんぷる」から「ハートカクテル」への旅路〜

日本学生相談学会理事長 齋藤憲司

学生相談にかかわるみなさま、どのような新年をお迎えでいらっしゃいますでしょうか。講義も再開され、そして入試の準備も始まって、今年はどんな出会いがあるだろうか、学生たちのために何ができるだろうか、等々、あれこれ思いをめぐらせておられることと存じます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年5月の琉球大学における第31回大会において発足した常任理事会/理事会/9つの委員会は、その任に就かれた諸先生がたのアイデアとご尽力で着実に、かつ新たな色彩を加えて、歩みを進めております。本学会は、5月の年次大会と11月の全国学生相談研修会とい read more »

理事長

新理事長からのごあいさつ

齋藤憲司新理事長からのごあいさつを掲載しました。